コマツは、国や自治体の法規制を順守し、実測結果の定期的報告や保管等を確実に実施しています。
2022年度は、環境に関する軽微な違反が国内で3件発生しましたが、罰金は科せられておらず、全て対応済みです。
海外事業所では、排水基準値の超過(北欧:KFAB)と有害廃棄物の管理不備(中南米:KCH)が発生しました。中南米については、1,500USドルの罰金が科せられましたが、いずれも対応は完了しています。
土壌・地下水の調査に関するガイドラインを定め、売却あるいは閉鎖・撤去計画のある事業所については法令に基づいて調査を行い、汚染がある場合は自治体の確認のもと浄化対策を行うことにしています。
また、稼働中の事業所においては、過去に洗浄液などに使用した揮発性有機化合物(VOCs)による汚染の有無を確認するために自主的な調査を行い、浄化対策を進めています。
2005年から国内の事業所でVOCsに関する土壌・地下水の調査を行い、汚染が確認された場合は対策工事を実施してきました。浄化方法はできる限り短期間で浄化できる方法を採用しています。
今後も、確実に浄化作業を推進していくとともに、敷地外へ基準を超えた地下水が流出していないことを確認するために、敷地境界での定期的な地下水のモニタリングを継続していきます。
変圧器や蛍光灯の安定器などのPCB廃棄物は、PCB特別措置法や廃棄物処理法に基づき、適正に保管・処理しています。
高濃度のPCB廃棄物については処分期限(2023年3月末)までに適切に対応を実施しました。低濃度のPCB廃棄物については、引き続き計画的に処理を進めていく予定です。
2022年度の取扱量1トン以上(特定第一種は0.5トン以上)のPRTR※対象物質は25物質で前年度と物質数に変更はありません。
PRTR対象物質は、キシレン、エチルベンゼン、トルエンの3物質が、コマツ及びコマツグループ生産事業所の排出量の約90%を占めています。またそのほとんどが大気への排出となっています。
2022年度は各事業所でPRTR1種の含有の少ない塗料、シンナーへの切り替えが進みましたが、生産量増加に伴い排出量は増加しております。
2023年度もPRTR1種含有の少ない塗料への切り替え、シンナー、塗料のハイソリッド化、塗着効率向上、塗膜厚の減少、シンナーの再生利用に努めていきます。
国内グループ生産事業所第三者保証
国内グループ生産事業所第三者保証
VOC排出量の大部分はキシレン、エチルベンゼンなど塗料に含まれるVOCです。
2022年の排出量は生産量増加に伴い前年より原単位でわずかに悪化しましたが、VOC排出量の生産金額原単位は2005年度比50%削減を維持しています。
国内グループ生産事業所第三者保証
海外の環境保全の高まりに対応し、コマツは早期からアスベスト、鉛などの環境負荷物質削減に取り組んできました。1999年度には、化審法の禁止物質や各国規制の禁止物質をベースに、使用禁止物質、使用制限物質を定め、環境負荷物質のトータル管理を開始しました(下記「製品への使用禁止・使用削減対象の環境負荷物質」参照)。
昨今はREACH※1およびSCIP※2対応をベースとして、使用制限物質の見直しと削減または禁止を推進しています。サプライヤーの協力のもとに、製品中の負荷物質の管理強化のための管理システムを導入し国内、欧州法人で運用開始し、その他海外現地法人でも運用を進めています。
このシステムを利用して現EU向け輸出車・EU現地法人生産車のみならず、新規開発機種に対しても確認を実施、さらに継続的に登録される追加SVHCに対しても、都度再確認を実施しています。
2023年時点では233物質ですが、半年毎に追加され、将来は1500まで増えるといわれ、もれなく管理するため、ルーチンワークフローを作成しています。
ランク | 数 | 物質名 |
---|---|---|
禁止 |
21 |
|
削減 (限定使用) |
15 |
|
REACH規制 高懸念物質 (SVHC) |
(233)※5 |
コマツの製品に使用している可能性がある以下の物質は管理対象。
|
このような使用禁止、削減を進めていますが、例として、特定フタル酸エステル含有部品については、2024年までには代替品へ置き換えるよう計画しているところです。
建設機械などに使われるディーゼルエンジンからの排気ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)を減らすために排出ガス規制が設けられ、よりクリーンな排気ガスとするよう、開発を進めてきました。2022年度には、生産された建設機械のおよそ78%が米国Tier-3、EU StageⅢA以上の規制に対応しています。その結果、コマツが生産した建設機械製品から排出されるNOxとPMの平均値は以下のとおりです。
NOx,PM平均排出値第三者保証
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
NOx(g/kWh) | 3.1 | 3.5 | 3.5 |
PM(g/kWh) | 0.16 | 0.18 | 0.17 |
地球温暖化によってもたらされる気候変動や人口増加などにより、河川氾濫、渇水、水不足などの水リスクが世界中のいたるところで顕在化し、年々深刻さを増しています。
わたしたちコマツグループは、すべての人が安全で衛生的な水を享受する権利を重要な権利の一つとして尊重しています。そして事業を展開する上で、わたしたちはその水に依存し、かつその水量と水質に影響を受けまた影響を与えていることを十分に理解しています。それ故に、環境負荷を低減する生産活動、優れた製品・サービスの提供、水リスクへの適切な対応を通して、地域の水資源を確保し水の安全性を守っていきます。このような取り組みをオールコマツで展開し、地球の環境保全につなげて行くことが、わたしたちのゴールです。
以上の取組み全体を通じて、世界共通のゴールであるSDGsに貢献していきます。
コマツグループでは、地球環境方針をもとに、水の使用量削減とリサイクルの推進、そして水質保全を中心にした活動を展開してきました。2020年には、生産/非生産を問わず国内外の主要な事業所計76拠点を対象とした「水リスク調査」を実施しました。この調査では、①WRI Aqueductを用いた汎用的で客観的な水リスクの抽出、②コマツが重要と考えている水リスクに対する主観的な意識調査を実施し、①②を組み合わせることで、より幅が広く確度が高い「水リスク調査」となりました。
この「水リスク調査」の結果、コマツグループには、大雨、河川氾濫、津波といった災害リスク(サプライチェーンへのリスク意識を含む)の 高い地域が一部あることが分かりました。
今後も、定期的に「水リスク調査」を実施し、コマツグループの水に関する課題をアップデートして行きます。
上水(水道水/市水)、工水(工業用水道水)、井水(井戸水)といった生産活動に必要な水資源の利用に関して、コマツグループの国内外の主要生産34拠点が持っている水ストレスリスクをWRI Aqueductを用いて調査しました。WRI Aqueductの結果に、対象拠点独自の判断による補正を加えました。
2020年時点で水ストレスリスクが「高」あるいは「中~高」と評価された拠点の水使用量は、全体の9%程度となりました。また、コマツ全体の水使用量の約64%が井水であるのに対し、水ストレスリスクが「高」あるいは「中~高」レベルの拠点で使われる水の全量は上水であり、その地域の水資源確保の点からも水使用量削減、水リサイクルが重要であることが分かりました。
なお、生産拠点の水リスクについて人員比率で集計した結果は下表のとおりです。
調査カバー率 |
100% |
---|---|
水ストレスリスク高の比率 |
8% |
洪水リスク高の比率 |
8% |
今回の調査結果を、水使用量(投入量)削減や水リサイクル推進、および大雨・洪水などの物理リスクへの適応といった従来の活動に有効的に生かし、コマツグループ全体の水リスク低減を図って行きます。また事業拠点の新規建設や移転の計画の際には、その地域の水ストレス調査を行い、リスクレベルの確認を実施して行きます。
大雨対策として、構内100mm/h降雨でも、1時間分の貯水を可能とする3つの貯水池と大雨送水管、地下貯水タンクを設けるとともに、雨水溝を拡張している。
また、敷地外に流さないように止水壁、止水板を設置している。
KIPL:大雨の際に部品倉庫やリマンショップに河川氾濫水が侵入する可能性がある。水侵入を防止するため下記のような対策を講じている。
KRA:この地域では降雨量が多く、また渓谷に位置しているため、敷地内に水が侵入する可能性がある。水侵入を防止するため下記のような対策を講じている。
また、主要サプライチェーン(みどり会)にも「水リスク調査」を実施済で、2017年度から「水リスク低減活動」にご協力いただいています。
コマツは海外現地法人におけるリスク予防のため、国内マザー工場の環境担当者の支援の下、2007年度より計画的にコンプライアンス・リスク監査(CR監査)を行っています。
2022年度は東南アジアと北米を対象に監査を実施しました。まだ完全に新型コロナウイルスの影響が払しょくできていなかったことから、時差の少ない東南アジアについてはリモートで監査を行いましたが、北米については感染のリスクが収束し始めてきたことから、実際に現地を訪れて監査を行いました。監査の結果として、各社ともに環境リスクにつながるような大きな問題はなく、環境負荷低減活動に積極的に取り組んでいました。
リモート監査では現場の状況を見ることができないため、通常の監査で行っている事前チェックシートによる現地の状況確認に加え、現地法人が行っている水質検査の結果や管理手順など様々な資料を事前に取り寄せ、書面監査も実施しました。今後は現地監査をメインに実施していく予定ですが、必要に応じてWeb会議システムを活用しながら、監査のフォローアップを行うとともに、他地域の現地法人においても環境監査を行っていきます。
年度 | 地域 | 年度 | 地域 |
---|---|---|---|
2007 | 中国 | 2015 | タイ |
2008 | ― | 2016 | インド・インドネシア |
2009 | タイ・インドネシア | 2017 | ロシア・中国 |
2010 | インド | 2018 | インドネシア・ブラジル |
2011 | ブラジル | 2019 | 中国・アメリカ |
2012 | ロシア・チェコ | 2020 | 欧州 |
2013 | アメリカ | 2021 | 中国・欧州 |
2014 | アメリカ・ブラジル | 2022 | 東南アジア・アメリカ |
海外事業所では、2019年度から地域ごとに環境・安全の担当者が集まり地域会議を開催しています。この会議では、地域内での共通した課題について情報交換や話し合いをすることで、各事業所のコンプライアンスや環境負荷低減活動のレベル向上を目指しています。2022年度は大洋州を除く、北米、中南米、欧州、東南アジア、南アフリカ、中国で開催されました。コロナウイルスの影響により、全ての地域でWeb会議で行われましたが、各地域ともに多くの参加者が出席し、各社の環境活動報告が行われました。今後も、このような活動を通じて、コマツグループの環境活動をさらに活性化していきたいと考えています。