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サプライチェーンマネジメントのプロセス概要

えー8-2_サプライチェーンマネジメントのプロセス概要

サプライチェーンマネジメントのプロセス概要

1. 取引開始にあたって

新規の協力企業との取引開始の可否判断に際しては、公開情報、先方へのヒアリング、事業所への訪問監査等の手段を通じ、新規取引先評価チェックシートを用いて、SLQDCの基本項目のみならずESGの観点からも対象企業の事前評価を行います。

前述の「CSR調達ガイドライン」「グリーン調達ガイドライン」への理解も評価項目に含まれます。

新規取引先評価の項目別配点ウェイト

分野 評価項目 配点ウェイト(%)
経営全般 経営方針、組織、財務体質、社員教育等 28%
品質 保証体制、現場管理、初物管理等 12%
生産能力 生産計画~進捗管理~納期管理の体制、調達能力並び外注管理等 24%
優位性 開発技術力、コスト、設備保全能力等 8%
ESG 労働安全衛生、環境、コンプライアンス、 輸出管理、情報セキュリティ 28%
合計 100%
CSR室, 調達本部

えー8-3_スクリーニング

2. スクリーニング

新規および既存の協力企業に対し、コンプライアンスの観点から、輸出管理上の要注意顧客・規制対象国・規制品目及び技術に該当しないかどうか、また、反社会的勢力に該当または関連しないかどうかについて、外部の専門データベースによる定期的なリスク調査を実施しています。財務面を主体とする経営状況については、公開情報や四半期毎のアンケート調査を通じて、さらに新規並びに既存の懸念企業に対しては民間信用調査会社等も利用して確認を実施しています。CSRやESGの観点については、労働衛生及び環境法令、独禁法及び下請法、出入国管理法等に対する違反の有無を官公庁や関連する自治体のウェブサイト等にて定期的に確認しています。建設機械業界にとっての原材料調達上のリスク対応として、紛争鉱物に関する原産国調査も継続しています。

取引先に対するリスクアセスメントのプロセス

サプライヤに対する主なスクリーニングと実施状況

分野 No. 目的 内容 確認方法 実施 頻度 対象(○実施対象) 2022年度※1の 実施状況
重要なサプライヤ(一次サプライヤのみ) その他全ての一次サプライヤ 実施社数 個別フォロー実施社数 是正対応実施済み・対応予定の社数
レベル-1 レベル-2 レベル-3 国内 海外
コンプライアンス 1 輸出管理上の要注意顧客への該非判定 国内外の行政機関が公表する要注意顧客リストに該当・関連するかどうかの確認 CISTECデータベースでのChaser検索 1回/年 2,176 0 -
2 反社会的勢力への該非判定 反社会的勢力に該当・関連するかどうかの確認 公表情報、専門機関を通じての確認 2回/年 2,235 0 -
経営 3 経営状況の確認 信用調査 経営・財務状況の確認 公開財務情報や民間信用調査会社のレポート 都度 2,235 3 3
4 経営状況定期調査 損益、雇用、操業度、投資等経営全般に関する調査 アンケート調査 四半期毎
ESG 5 労働、環境、独禁法・下請法・出入国管理法等の法令違反の有無確認 労働基準局、各自治体、公取委、出入国管理局等の公表違反事例の検索 月次
日本のみ

日本のみ

日本のみ
2,235 2 2
BCP 6 事業所立地による自然災害(浸水、津波、土砂災害など)リスクの有無確認 国交省ハザードマップ、Aqueduct等での確認 1回/3年 1,385
日本のみ
11 11※2
  1. 毎年実施しない調査は直近での調査結果を示す
  2. 当社での安全在庫積み増しによる対応も含む
CSR室, 調達本部

えー8-4 リスクアセスメント・監査と是正・改善活動への支援

3. リスクアセスメント・監査と是正・改善活動への支援

サプライチェーンにおいて想定されるリスクに対応するために、コマツは前項のスクリーニングに加え、当社にとっての協力企業の重要度に応じて、企業活動の個別分野ごとにリスクアセスメント・監査(当社有識者による)を実施しています。これらのリスクアセスメント・監査は、デスクトップ調査及びオンサイト調査を通じて実施され、その内容、対象範囲及び2022年度における実施状況は下表の通りです。

これらのリスクアセスメント・監査を通じて判明した顕在的・潜在的リスクに関しては、実地監査での検証を踏まえて協力企業へ報告し、相当期間内での適切な是正対策の実行を要請します。対象企業単独での是正対応が困難と判断される場合には、コマツは、協力企業からの要請に応じて 、当社の有識者の協力も得て、改善指導・支援を提供します。

これらの一連のプロセスの実施状況と結果は、特に重要とみなされるリスクに関してはその内容と是正対策の進捗も合わせて、調達本部から月報にて当社経営陣へ定期的に報告しています。

そして、これらアセスメント・監査の結果を実際の購買活動方針へフィードバックすることで、サプライヤの行動規範と購買活動との整合性を維持するよう努めています。

また、これら個別の是正活動と並行して、従業員に対する各種教育研修プログラムやe-learning教材の公開・提供等を通じて、CSR活動における協力企業各社の全般的な理解力や対応力の向上に向けた支援も実施しています。

環境マネジメントや安全衛生活動に関しては、各社の推進体制のレベルアップを目的に、外部第三者機関による公的認証の取得も推奨しています。

協力企業に対する主な個別リスクアセスメント・監査

分野 調査の形態 No. 内容 確認方法 実施 頻度 対象(○実施対象) 2022年度の 実施状況
デスクトップ オンサイト 重要なサプライヤ(一次サプライヤのみ) その他全ての一次サプライヤ 実施社数 個別フォロー実施社数 是正対応実施済み・対応予定の社数
レベル-1 レベル-2 レベル-3 国内 海外
全般 1 みどり会活動を通じた双方向のコミュニケーション強化 ①定例会合での企業トップ間の交流 会合 2回/年 333 - -
②部会を通じた改善活動(生産性向上、省エネ等)の推進 工場訪問、活動報告会等 通年 216 - -
経営全般,QCD 2 企業評価 年次のSLQDC実績評価及び企業経営に関する要因評価 実績KPI、経営者ヒアリング 1回/年 99 0 0
3 品質監査・熱処理監査(保安部品、熱処理工程有する企業のみ) 品質保証体制及び工程管理状況の確認 書面調査、実地監査、証憑確認等 1回/年(指定企業) 熱処理監査 337 実地監査 337 0
4 月次操業度チェック 月次毎の操業度予測とその対応方法の確認 書面調査、経営者ヒアリング 月次
日本

日本
166+α※1 7 7
コンプライアンス、ESG 5 コンプライアンスリスク(CR)監査 経理財務、労務管理、調達(下請法)、情報セキュリティー分野での潜在リスク有無の確認 書面調査、実地監査、証憑確認等 1回/2年 7 2 2
6 海外労働者雇用状況調査 海外労働者(実習生含む)の雇用に関する法令順守状況調査 アンケート調査及びヒアリング 1回/年 99 9 9
7 労働安全衛生レベル評価(法令遵守チェック含む) 労働安全衛生活動を推進する組織体制、労働関連法令の順守状況の確認、活動内容の評価 安全パトロール等の実地監査、経営者及び安全責任者へのヒアリング等 2回/年 99 15 15
8 環境マネジメント(EMS)取得促進・環境監査(法令遵守チェック含む) 環境マネジメントに関する第三者認証取得の義務付け、及び環境関連法令の順守状況及び活動状況の確認・評価 書面調査、実地監査、経営者及び環境責任者へのヒアリング等 1回/年
EMSのみ
環境監査2 2 2
9 CSR SAQアンケート調査 チェックシートによるCSR全般に関する自己診断 アンケート調査及びヒアリング 1回/3年 156 8 8
10 人権リスク調査 チェックシートによる人権、労働安全衛生に特化した自己診断 1回/2年 292 8 8
BCP 11 情報セキュリティー自己診断 サイバーセキュリティーに対する対応状況に関する自己診断 1回/年 156 14 14
12 災害、パンデミック等発生時の被災状況及び供給継続可否の確認 地震や台風情報等と連動したサプライチェーンリスク管理システム(KS-Link)を通じ、取引先の被災リスク絞り込み⇒電話やeメール等で被災状況確認、実地調査、復旧支援 都度 7,662
二次以降のサプライヤ含む
該当多数 復旧支援1
  1. リスクが予想される場合は二次サプライヤ以降も確認

協力企業に対する是正活動上の支援事例

分野 No. 名称 内容
経営 1 資金繰り支援 期日前支払、現金払い化など
余剰在庫品の買い上げ、先行発注・検収など
生産設備買い上げ、貸与など
2 人的支援 管理者・技術指導者の出向派遣、当社での研修受入れなど
3 教育研修プログラム等の提供 管理者向け、一般従業員向け
CSR室, 調達本部