地域社会が必要とし、かつ最もコマツの強みを発揮できる社会貢献活動の一つに、「人を育てること」があります。雇用に結びつくための技能取得を目指し、それぞれの地域の事情に合わせた人材育成プログラムを、国・自治体や、学校などの機関と連携して実施しています。
コマツは本業のビジネスで培ってきた人材育成のスキルやノウハウを活かして、社内のみならず、各地域で必要とされている人材の育成のための支援を行っています。
「人材育成」に求められる内容は、地域によってまったく異なります。グローバルに事業を展開するコマツは、その地域でどのような支援が求められているのかをよく理解し、さまざまな分野・形態で、支援を行っています。
下のピラミッド図は、コマツが行う人材育成の支援分野を示したもので、頂点に近づくほど、コマツの事業内容により密接したプログラムを表しています。裾野への取り組みは小学校などを対象にした理科教室などで、主に日本や欧米などの地域で積極的に行っています。次の基礎教育の提供は、国や地域による様々な事情から就業に必要な教育を十分に受けることができない(できなかった)人々に対する支援で、南米や南アフリカ共和国などで、独自のプログラムを展開しています。大学や職業訓練校に対しては、広い地域で取り組んでおり、コマツのカリキュラムや機材を提供したり、また講師を派遣したりしています。頂点の部分は、人材育成が社会課題となっている地域において、国・自治体や、お客さまとコマツが連携して、人材育成に取り組んでいます。
実際の支援内容は、コマツからの講師派遣や、教材・機材などの提供、また設備を提供したり、研修生の受け入れを行ったりするなど、日頃培ったさまざまなノウハウを最大限に活用しています。
講師派遣
教材・機材提供
設備提供・運営支援
研修生受入れ
フィリピンの多くの大学では、民間企業での実務研修の経験を工学部卒業のための必須要件としていることから、コマツフィリピン(KPC)では、大学からの研修生受け入れニーズの充足と、KPCへの優秀な人材の獲得を目的として、Student Traineeship Program(STP)を展開しています。
KPCでは、世界中のお客さまの稼働現場でプロダクトサポートに携わる「グローバルエンジニア」を育成していますが、このKPCにて2011年から行われているSTPにはこれまで延べ216名の大学生が参加し、内38名がKPCに入社しています。各大学から選抜されてSTP に参加する学生は総じて学習意欲が高く、約260時間の実習期間が終わる最終日には、建設・鉱山機械の構造や機能に関する専門性の高いプレゼンテーションが行われます。
2023年度のSTPに参加した16名(3年生中心)の多くが2025年の入社希望を表明しています。コマツはSTPを通じて、今後も地域の人材育成に取り組んでまいります。
コマツアメリカ チャタヌガ工場(CMO)は、チャタヌガ州立大学のポリテックアカデミーと提携し、同地域初となる州認定の実習制度予習プログラムを創設しました。高校の通常授業と並行して行われるこのプログラムでは、参加する高校3年生がベテラン技術者の指導のもと実践的な技術を身につけることができ、1日4時間・週5日働くことで収入を得るチャンスも生まれます。
生徒達は、さまざまな産業における安全衛生上の危険や労働者の権利、雇用者の義務などについて幅広く学ぶことで、製造現場で求められる要件に十分備えられるようになります。そして、このプログラムを修了した卒業生は、高校卒業後にチャタヌガ州立大学で技術メンテナンスまたは溶接のフルタイム実習生としてキャリアをスタートさせることができます。実習制度の予習から実際の実習制度へとシームレスに移行することにより、生徒達は製造業界でのキャリアを追求できるようになるのです。
この先進的な取り組みは、テネシー州チャタヌガ地域で活躍する地元企業の人材獲得ニーズに貢献すると同時に、製造業における長期的な経済成長の基盤づくりに一役買っています。地域人材育成に対する長期目線でのコミットメントを通じて、CMOが地域の経済的繁栄に貢献するとともに、若者の心に新たな高みを目指すインスピレーションを与える存在になることを願っています。
協業によるCSR活動は、それぞれの人材、ノウハウ、リソースなどを活用し合うことにより、単独で行うよりも大きな成果が期待できます。社会貢献活動を進めるにあたって、コマツはこれまでも固有のノウハウを有したNPO法人などとの協業を行ってきました。そして2016年、ビジネスパートナーである米国カミンズ社と、地域人材育成の分野において協業することで合意しました。
コマツと米国の大手エンジンメーカーであるカミンズは、長きにわたりエンジン事業のパートナーとして強い信頼関係を築いてきました。
両社は社会貢献活動として、いずれも地域社会における人材育成支援の分野に力を入れており、すでにいくつかの地域で協業が始まっています。その中心的なプログラムが、地域技術教育(Technical Education for Communities:TEC)です。このプログラムを両社協働のもとグローバルに導入していく契約を締結し、互いのリソースやベストプラクティスを総合的に活用しながら、人材育成支援を世界各国で展開しています。
商号 | Cummins Inc. |
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設立 | 1919年 |
本社 | 米国インディアナ州コロンバス |
事業内容 | エンジン事業、パワージェネレーション事業、コンポーネント事業、ディストリビューション事業 |
URL | http://www.cummins.com/ |