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気候変動対応

B-3_商品・サービスの気候変動対応_建機のCO2排出削減

気候変動対応

 

商品・サービスの気候変動対応

建機稼働時のCO2排出削減

建設機械のライフサイクルにおけるCO2排出量は、製品稼働中の排出がおよそ80~90%と大部分を占めています。このような背景もあり、コマツでは製品稼働中のCO2排出量を削減するために、ダントツ商品、ダントツサービス、ダントツソリューションの3つのアプローチで取り組んできました。

Step1:ダントツ商品によるCO2排出の削減

HB335-3
HB335-3

燃費性能の優れた製品を提供し、製品からのCO2排出を削減しています。例えば、2008年にコマツが世界で初めて市場導入したハイブリッド油圧ショベルがこれに当たります。
これらのハイブリッド建設機械は日本の国土交通省より「低炭素型建設機械」として認定されています。
低炭素型建設機械認定機種:HB215-3、HB205-3、HB335-3、HB365-3など計16型式(2023年4月現在)
また、燃費性能の優れた建設機械として、国土交通省の「燃費基準達成建設機械」に、ブルドーザー「D71PX-24」、油圧ショベル「PC78US-11」、ホイールローダー「WA150-8」など、24型式が認定されています。(2023年4月現在)

Step2:ダントツサービスによる製品のCO2排出削減(Komtrax)

機械稼働管理システム「Komtrax」は、世界中で稼動する建設車両から稼働情報・健康情報を自動で収集し、遠隔での車両の監視・管理・分析を可能にするべく、コマツが開発した仕組みです。集められた情報は、インターネットを通してお客さまに提供するとともに、機械の稼働時間、仕事時間、更には使われ方、燃費を「見える化」し、改善点を提案します。このようにして、お客さまでの燃料消費量の改善(=CO2排出量の削減)をサポートしています。

Step3:ダントツソリューションによる施工全体でCO2排出の削減(スマートコンストラクションによるソリューションの提供)

コマツは、2013年に世界で初めて自動ブレード制御機能を搭載したICTブルドーザー「D61PXi-23」を北米・欧州・日本に市場導入しました。さらに2014年には世界初のセミオート制御機能を搭載した油圧ショベル「PC210LCi-10」を北米・欧州に、「PC200i-10」を日本に市場導入しました。ICT油圧ショベルを使った社内テスト施工のデータを元に試算した結果、「PC200i-10」での盛土法面整形作業では約30%の燃料消費量の削減が確認されました。また、ICTブルドーザーを使用した社内テスト施工のデータを元に試算した結果、「D61PXi-23」での敷均し作業では約25%の燃料消費量の削減を確認でき、ICT油圧ショベルと同じくCO2排出量を削減できることが分かりました。
コマツでは、これらのICT建設機械と、ドローンや3Dスキャナーを使った現況地形計測など、工事現場の作業効率化とプロセスの「見える化」を進める「スマートコンストラクション」を展開しています。

製品稼働時のCO2排出削減

コマツでは、製品(建設機械、鉱山機械、林業機械など)稼働時に排出する作業量当たりのCO2を2010年度比で2030年度までに50%削減することを目標としました。
この進捗を評価するために、その年の製品性能と、基準年(2010年度)当時の製品の性能を比較し、燃費、作業効率の改善によるCO2削減貢献効果を見積もりました。その結果、2022年度の製品では、基準年にくらべ、21%のCO2削減が達成されました。

製品稼働時CO2排出指数第三者保証チェック

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環境管理部, 総務部

B-4_商品・サービスの気候変動対応_事例紹介

-カーボンニュートラルの実現に向け現場の電動化をさらに拡大-
リチウムイオンバッテリー搭載電動式フォークリフト「FE25G-2」、「FE30G-2」を発売

FE25G-2
発売したリチウムイオンバッテリー搭載電動式フォークリフト「FE25G-2」

 コマツは、カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2排出削減に貢献する2.5トン、3.0トンクラスの電動式フォークリフト「FEシリーズ」に、大容量リチウムイオンバッテリーを搭載した「FE25G-2」、「FE30G-2」を2022年12月より日本国内向けに発売しました。
今回発売した2機種は、「FEシリーズ」(FE25-2、FE30-2)の車両サイズや特長を継承しつつ、急速充電が可能な大容量リチウムイオンバッテリーと新開発の定置式急速充電器を採用しました。この採用により、充電時間が確保できない長時間稼働の現場や、重量のあるアタッチメントを使用している高負荷作業の現場といった、これまでエンジン式フォークリフトでしか対応できなかった現場にも導入可能な電動式フォークリフトとなりました。例えば、バッテリー容量は2.5トン車で+35%(FE25-2比) 、3.0トン車で+22%(FE30-2比)と大容量化することにより、稼働時間が約20~30%延長(※1)しました。また、コマツの従来の電動式フォークリフト(※2)は100%満充電まで8時間以上を必要としていましたが、これを約4分の1(約1時間50分)に短縮しています。それだけでなく、継ぎ足し充電が可能になったことで、隙間時間にも充電できます。さらにオプションとして急速充電器を2台使用することで、満充電までの時間を1時間未満に抑えられるため、充電時間の確保が難しい現場での連続稼働にも貢献します。
 FEシリーズのラインナップ拡充により、電動式フォークリフトの稼働現場をさらに拡大し、環境負荷低減とカーボンニュートラルの実現に貢献します。

  1. 社内試験結果によるもの
  2. FEシリーズおよびその他の当社鉛バッテリー車
CSR室, 環境管理部, コーポレートコミュニケーション部, 情報戦略本部, 生産本部, 調達本部, 開発本部, 建機マーケティング本部, ライフサイクル事業部, 地雷除去プロジェクト室, 総務部

B-5_商品・サービスの気候変動対応_コンポーネント改善事例

PC950-11 大型油圧ショベル用電子油圧システムの開発
-油圧システム刷新による環境性能の大幅改善-

油圧ショベルPC950-11
油圧ショベルPC950-11

コマツは、90tクラスの大型油圧ショベルの新機種PC950-11(バケット容量 4.0m3)を2022年7月に市場導入しました。当該機は、新規に自社開発した電子制御式閉回路旋回システムを搭載しており、旋回減速時のエネルギを油圧により回生することで、省燃費化を実現しました。また、アーム掘削とブーム下げには高効率再生システムを導入し、作業機速度アップと省燃費化を両立しています。油圧システムは電子制御化されており、車体の稼働状況に合わせて油圧機器を最適に制御することで良好な操作性を実現するとともに、油圧ロスを大幅に低減しました。これらの油圧システムの刷新および新型エンジン搭載などにより、従来機(PC850-8E0)に対して車体全体で40%の燃費効率改善を達成しています。本機に搭載しているコントロールバルブ、メインポンプ、旋回モータ、走行モータや油圧シリンダなどの主要機器は全て自社開発、自社生産しており、コマツの経営方針の基本である「品質と信頼性」を追求した油圧機器によりマシンのダウンタイムを削減し、お客様の現場での生産性向上に貢献しています。

CSR室, 環境管理部, コーポレートコミュニケーション部, 情報戦略本部, 生産本部, 調達本部, 開発本部, 建機マーケティング本部, ライフサイクル事業部, 総務部

B-6_生産活動における気候変動対応_生産におけるCO2削減

 

生産におけるCO2削減活動

コマツは気候変動問題に対応するため、グローバルの拠点で研究・開発や生産活動に使用する電力・燃料ガス・燃料油など全てのエネルギーを対象に、内製金額当たりのCO2排出量を指標として、CO2排出量原単位の低減活動を推進しています。
2022年度は生産量の拡大で、国内外とも生産に係るCO2排出量は増加しましたが、鋳造・鍛造・熱処理・機械加工等の負荷の高い工場を中心とした省エネ改善と、太陽光やバイオマス発電施設の増設、さらに海外ではグリーン電力の購入拡大で、内製金額当たりのCO2排出量原単位を前年から6%低減し、2010年度比で43%低減しました。
また、再生可能エネルギーの使用比率も17%に向上しました。
今後も新生産技術の導入や改善活動を積極的に進め、CO2排出量原単位の低減に取り組みます。

項目 2021年度 2022年度 2030年目標
CO2排出量原単位(対2010年度比) 63 57 50
再生可能電力使用率 14% 17% 50%

2022年度の主な活動

《国内》

  • 生産性向上、ユーティリティ設備の省エネ改善 
  • 太陽光発電施設の増設、バイオマス発電の拡大 

《海外》

  • 電力設備の力率改善、鍛造工法改善
  • 太陽光発電施設の増設、グリーン電力の購入拡大

生産活動におけるCO2排出、エネルギー指標

CO2排出量第三者保証チェック

CO2排出量

注)排出量の内訳をScope1、Scope2に変更した。

再エネ電力量と比率第三者保証チェック

再エネ電力量と比率

注)過去データの見直しにより一部データを修正した。

エネルギー使用量第三者保証チェック

エネルギー使用量

注)過去データの見直しにより一部データを修正した。

環境管理部, 生産本部, 総務部

B-7_生産におけるCO2削減_工場改善事例1

環境に配慮した新工場
-コマツマイニング(米国、ミルウォーキー)

コマツマイニング新本社工場(サウスハーバーキャンパス) 外観
コマツマイニング新本社工場(サウスハーバーキャンパス) 外観
拡張可能な1MW 太陽光発電設備
拡張可能な太陽光発電設備

 2022年に、コマツはアメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーのサウスハーバーキャンパス内に、新工場の建設を完了しました。新キャンパスでは、従来点在していたオフィスや生産工場を、より生産に適した沿岸部に集約し、効率化、生産性向上をを目指しています。ここでは、世界各地で使用される大型鉱山機械の製造、販売を行っています。また、省エネルギー、水資源の保全、生物多様性のある地域づくりに注力し、キャンパスのオフィスビルは、環境性能に優れた建築物と認定された「LEED Gold」の認証を取得しています。サウスハーバーには、従来のミルウォーキー施設と比較して、75%の省エネを目指した多くの技術を取り入れています。太陽光発電、風力発電は、建物や駐車場に電力を供給し、また、センサ付きLEDや、ビルの窓に入る日射量に応じて自動的に室内照明を調整する採光技術を用いています。さらに、購入電力も100%再エネとなるように配慮しています。キャンパスでは、水使用量の削減のため、雨水回収システムを導入し、施設のトイレに使用しています。また、すべての製造プロセスは、閉ループ水冷システムを使用しており、これらにより、従来のミルウォーキー施設に比べて水使用量を約80%削減することを目指しています。生物多様性に関しては、キャンパス内に、自然の生息地を提供し、水やりが不要な丈夫な種々の植物を植えることで、生物多様性に貢献しています。サウスハーバーで実施された環境改善は、エネルギー消費の削減、水の消費の削減、およびの生物多様性の向上に貢献しています。

CSR室, 環境管理部, コーポレートコミュニケーション部, 情報戦略本部, 生産本部, 調達本部, 開発本部, 建機マーケティング本部, ライフサイクル事業部, 総務部

B-9_物流における気候変動対応_物流におけるCO2削減

 

物流におけるCO2削減

グローバル輸送のCO2改善状況について

(貨物重量当たりCO2排出量原単位)

国内の輸送では、生産工場に隣接した金沢及び常陸那珂港の有効利用による輸送距離の削減や、内航船や鉄道を積極的に活用した長距離陸上輸送の改善(モーダルシフト化)、積載率を向上させるなどを重点活動として行っています。2022年度は生産量の増加で輸送量が増加しましたが、輸送に係るCO2排出量原単位(貨物重量あたり)は国内、海外ともに前年度と比べて向上し、原単位指数で国内輸送は3ポイント、海外輸送は5ポイントを改善しました。
引き続き輸送の効率化を進めることでCO2排出量の削減に取り組みます。

輸送におけるCO2排出第三者保証チェック

グローバル輸送CO2排出量と原単位
  • *原単位指数は基準年(日本:2006、海外:2011)での貨物重量当たりのCO2排出量を100とした指標
環境管理部, 生産本部

B-10_物流におけるCO2削減活動_国内事例

国内輸送CO2改善
コンポーネント部品輸送の鉄道輸送(日本:北陸地区⇒関東地区)

コマツでは、国内輸送時のCO2排出を削減するために、モーダルシフト化を推進しています。2022年度は、北陸地区から関東地区への自社工場間の輸送の改善を重点に取組みました。北陸地区(氷見工場/粟津工場)から関東地区(小山工場/茨城工場)への部品輸送において、従来のトラックによる陸上輸送からJRコンテナの鉄道輸送へとモーダルシフト化の改善を行いました。この改善により年間で150トンのCO2排出量を削減しました。

日本での鉄道路による輸送ルート

日本での内航船によるモーダルシフト
環境管理部, 生産本部