コマツは、主要な取引先であるみどり会会員企業に対しさまざまな側面からの支援を行っています。
これまでの主な取り組みは下記の通りです。
コマツは、日本みどり会のうち外注企業を主体とする98社を対象に、コマツの専門家による安全パトロールの継続実施、他社の労働災害・安全対策の共有と水平展開、マネジメントシステムの導入など、みどり会各社の安全活動体制の構築と活動のレベルアップ支援を行っています。これらの活動は中国みどり会にも展開しています。
また、協力企業においては人手不足から、外国人、高齢者、女性の現場就労が増えて被災するケースも発生しているため、作業標準書等の安全衛生関連資料の多言語化や、高齢者や女性にとって肉体的負担の少ない職場環境づくりなどの面での支援も進めています。
加えて、当社ではこれまで、事故の未然防止を目的として他社の災害事例や速報情報をみどり会企業の現場作業者に情報展開してきました。しかし、文字情報だけでは災害状況や危険性の理解にばらつきが生じる課題があったため、AIを活用した再現動画および説明動画を作成・展開し、作業者の理解向上を図るとともに、各自が自部門へ水平展開を行えるツールを整備しました。外国人への対応として、動画は13カ国語に翻訳しています。
チェックシートによる書面調査および現場巡回を行い、特に、法令対応(届出、点検等)の遵守状況や現場での不安全箇所、不安全行動の有無についてチェックを行います。指摘事項については、再発防止対策を記入した対策書の提出を依頼してフォローしています。2018年度からはチェックシートおよび評価基準の見直しを行い、みどり会対象各社の活動を全社同一基準で評価するとともに、各社の年次毎の活動レベルの向上度をフォローアップ(ワンランクアップ活動)しています。2023年度からはより現場に焦点を当てた現場パトロール評価シートを作成し、同一目線で各社の現場の安全活動をチェックし、ボトムアップ活動を強化しています。
フォローアップの中では、現場での作業サイクルの定点観測やリスクアセスメントの共同実施などの活動を通じて、協力企業の現場監督者の育成にも努めています。
また、重大災害撲滅の観点から、自動ライン・自動機への安全装置の設置・運用状況や、フォークリフト・クレーンの操作、および高所作業の作業標準の設定状況などに関し、定期的に統一チェックシートを用いて一斉点検を実施しています。特に自動ライン・自動機への安全対策については、自動機レベル向上活動(人に頼る安全担保から設備で押さえる安全担保へ)として重点的に活動を推進しています。
みどり会部会活動の一環として、同業種の視点による協力企業間の相互安全パトロールを実施しています。
また、業種ごとの特有な観点(重量物のハンドリング、高温接触リスクなど)からのチェックも重視しています。
毎年6月に実施するコマツグループ安全衛生大会には、日本みどり会企業のトップが出席するのに加え、日中みどり会会員企業から選抜された優秀ゼロ災サークルの活動発表を行っています。
また、コマツ各工場に設置した安全道場を協力企業に開放し、各企業の社員の方にも危険擬似体感や危険予知訓練を体験いただくことで安全意識の向上を図っています。
繰り返し災害が発生した協力企業は「特別安全活動対象企業」に選定し、各社の状況に合わせ具体的な改善内容を提案しています。また、各社にて作成した活動推進計画について共有し特別支援・指導を実施します。
各社に対し、活動のレベルアップのため、ISO、OSHMS認証を含む労働安全衛生マネジメントシステムの取得支援を行っています。2015年には独立した認定監査機関によるサプライヤーの安全衛生法令の順守状況の調査を目的として、対象97社が中央労働災害防止協会の中小企業労働安全衛生評価事業を導入し、客観的な評価に活用しています。指摘を受けた内容については是正計画を策定し、コマツも協力企業からの要請に応じて、当社有識者の協力も得て改善指導・支援を提供します。
2025年度 安全活動方針
| 2025年度 活動方針 | ||
|---|---|---|
【2025年度目標】
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| 活動項目 | 活動テーマ | 活動手段(頻度) |
| (1)重大災害撲滅活動 |
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| (2)現場力向上活動 |
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| (3)みどり会部会安全活動 |
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現場評価チェック(2025年上期振り返り)
| HHK活動 | 教育指導 | KYT・RA | 指差呼称・HE抑止 | 災害抑止・横にらみ | |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025上期 | 86 | 89 | 90 | 80 | 90 |
| 北陸平均 | 85 | 83 | 87 | 75 | 83 |
| 関西平均 | 84 | 91 | 87 | 79 | 90 |
| 関東平均 | 88 | 91 | 91 | 83 | 93 |
| HHK活動 | 教育指導 | KYT・RA | 指差呼称・HE抑止 | 災害抑止・横にらみ | |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025上期 | 86 | 89 | 90 | 80 | 90 |
| キャブ・薄板上期平均 | 90 | 93 | 92 | 83 | 93 |
| 素形材上期平均 | 84 | 89 | 88 | 81 | 89 |
| 厚板上期平均 | 84 | 88 | 86 | 75 | 88 |
| 機械上期平均 | 86 | 89 | 91 | 79 | 89 |
| 購入品上期平均 | 89 | 93 | 91 | 89 | 95 |
【現場レベル評価内容】(抜粋)
| 活動要素の層別 | |||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 項目分類と目的 | HHK | 教育 | KYT・RA | 指差呼称・HE抑止 | 災害抑止・横にらみ | No | 分類 | 評価項目 | チェック内容(コマツ/パトローラー) |
| 『安全は全てに優先する』 事が企業繁栄の基礎 | ★ | ★ | ★ | ★ | ★ | 0 | 社長、トップ方針 | 1)社長メッセージの発行・掲示 2)安全最優先の現場作業者意識への浸透 |
社長メッセージの掲示(作業者への周知、ヒヤリング) |
| (01)自動機安全レベル/向上活動の継続 | ★ | ★ | ★ | ★ | 1 | 自動機 | 1)レベル3の自動機について安全作業が周知されているか。 | 安全標準書/Sポイントで注意喚起されているか。(現場Sポイント注意喚起有無確認) | |
| (03)HHKシート実施とフォロー | ★ | ☆ | ☆ | 3 | HHK | 1)HHKシート実施率
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恒久対策/暫定対策がされているか。
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| (08)指差呼称の推進 | ☆ | ★ | 8 | 指差呼称 | 1)フォークリフト運転者は、要所要所で指差し呼称を実施しているか
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車両を止めて確認しているか。(決めたルールに則り指差し呼称を実践しているか) | |||
| (09)クレーン作業の安全基本作業の徹底 | ★ | 9 | クレーン | 1)クレーン作業時、要所での指差呼称を実施しているか
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決めたルールに則り指差し呼称実践しているか。(クレーン作業の順守事項が守られているか) | ||||
| ☆ | ☆ | ☆ | ★ | 10 | クレーン | 1)不安全なクレーン作業をしていないか(立ち位置の確認・脇見運転はないか) |
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| (11)災害横にらみの実施 | ★ | ☆ | 14 | クレーン玉掛け/マグネット吊具 | 1)マグネット吊り具は正しく使用されているか(厚板・薄板用、丸鋼使用ワーク径管理) |
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| ★ | ☆ | ☆ | ★ | 15 | クレーン玉掛け | 1)吊具の使用前点検をしているか(自作吊具の割れや開きなどの形状管理) |
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| ★ | ☆ | ★ | 20 | 工具 | 1)工具/治具等に破損はないか(ハンマー柄/クサビの抜け/ソケットやレンチ割れ摩耗開き) |
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日中みどり会企業での災害発生件数推移

コマツグループで実施しているコンプライアンス・リスク監査(CR監査)を、コマツがマイノリティ出資している協力企業16社に対しても2016年から実施しています。監査対象は、経理会計、労務管理、調達(下請法)、情報セキュリティの4分野です。関連法令の順守状況、業務規則・業務分掌・決定権限等の設定と運用状況の確認、関連帳票や現場の実査などを通じて、潜在リスクの洗い出しと是正措置を狙いとしています。
CSR調達を推進していくうえで、協力企業における自主的なコンプライアンス体制の構築が必須であり、そのためには ①ルール策定(会社としての行動基準制定)②推進体制の決定(責任者、実務推進者など)③内部通報制度の導入 ④社員の啓発教育の手順で進めるのが望ましいと考えています。この方針に沿って、主要取引先である日本みどり会の外注品企業を主体とする99社を対象に、当社での実施例の紹介、社員教育資料の提供等を通じて、体制構築の支援を実施し、2021年度末までに全社完了しました。
本支援活動完了後のフォローおよび大手の協力企業の状況確認に関しては、現在ではSAQアンケートにより実施しています。
なお、2025年度には、日本みどり会155社において、労働関連法規ならびに環境分野での重大な違反は報告されていません。
CR監査での主な是正指摘項目(2016~2025年)
| 分野 | 指摘事項 | 対応 |
|---|---|---|
| 経理会計 | 業務フロー・業務要領・決定権限が未設定、設定不十分 | 業務フロー・要領策定、見直し |
| 実地棚卸(固定資産含む)が未実施、定期的・タイムリーに実施されていない | 実地棚卸の実施指導 など | |
| 滞留資産の売廃却、強制評価損のルールが不明確 | ルールの明確化 | |
| 社用印の管理、会計システムのパスワード更新、権限管理が不徹底 | 承認者と申請者を分ける等 | |
| 債権債務残高確認の不実施 | 残高確認の実施 | |
| 決算の取締役会決議未実施 | 取締役会決議の実施 | |
| 労務管理 | 一人親方に対する請負契約の不備 | 直接雇用への切り替え |
| 就業時間管理の際の端数(30分未満)の取り扱い | タイムカード運用見直し、など | |
| 労使協定の不備 | 労使協定を新たに作成し組合と取り交わす | |
| 着替え時間を労働時間に含めていない | 従業ルールの見直し | |
| 産業医選任届の不備 | 監督部署への追加・交代の登録手続き実施 | |
| 衛生管理者の週1回の職場巡回不実施 | 巡回実施方法の整備 | |
| 産業医の原則月1回の職場巡回不実施 | 産業医と相談のうえ巡回方法を整備 | |
| 調達(下請法) | 注文書の必要記載事項不足(3条書面):仮単価、支払条件など | 注文書、補充文書の見直し、業務フロー見直し など |
| 支払遅延のリスクあり(受領後60日以内) | ||
| 有償支給材代価の早期相殺のリスクあり | ||
| 下請代金減額禁止の抵触(現金払い化に伴う割引手数料相当額の減額) | ||
| 発注取消時の相手方了承に関する証憑取得ルールが不明確 | ||
| 注文書、支払い方法に関する書簡の記載内容不備 | 注文書、支払方法に関する書簡の見直し |
出資企業に対するCR監査の結果

コマツがみどり会会員企業に対してできる最大の支援は人材育成であるとの考えから、各階層に向けたさまざまなプログラムを提供しています(下表参照)。2020年度から2022年度までは新型コロナ感染症拡大のため、対面で行う大半の教育研修を中止せざるをえませんでしたが、その代替として、従業員教育の教材としても活用できるよう、オンライン会議システムを利用したリモート教育カリキュラムをみどり会各社へ提供しました。2023年からは対面教育も復活し、リモートとの併用によるハイブリッドスタイルも併用して教育を実施しています。
近年、特に注力している支援活動として「経営サロン」と「技能伝承活動」があります。経営サロンは、事業を継承して間もない若手経営者の人材育成を目的に、コマツ幹部と各社経営者とで各社の強み弱みの現状分析と中期経営ビジョンについて意見交換を実施し、お互いの方針・考えのすり合わせをしながら共有化を図るものです。一方、技能伝承活動は、各社の現場技能の向上・伝承を円滑に推進するため、コマツのノウハウを展開しながら、各社の推進体制や技能評価制度の構築、核となる技能分野のインストラクター養成等を支援するものです。
みどり会企業に対する教育等プログラム
| 対象階層 | プログラム | 概要 | 主な実績 | 2025年度実績 |
|---|---|---|---|---|
| マネジメント | 委託研修 | 経営者の御子息子女を5年以内の範囲で当社に受け入れて研修 | 1972年以降58名受け入れ | 0名 |
| ミドルマネジメント研修 | 当社の次期幹部職向け研修を、各社の後継者候補に公開、7カ月間 | 2005年以降32名参加 | 1名 | |
| 経営サロン | 若手経営者から各社中期経営ビジョンを発表、審議し当社と共有化 | 2014年以降49社実施 | 6社 | |
| 管理職 | 管理者研修 | みどり会専用、年2回 | 毎年40名前後参加 | 35名 |
| リーダ研修(現場管理職) | 毎年60名前後参加 | 70名 | ||
| スタッフ | コマツ工専 | 30歳以下の生産技術・製造系リーダ候補が対象、全寮制2年間 | 2008年以降33名入学 | 0名 |
| 生産技術者教育 | みどり会専用、板金系・機械系、年1回5日間 | 毎年40名前後参加 | 0名 | |
| 技能者 | インストラクター教育 | 各社の技能インストラクター候補養成、30日間 | 2015年以降202名参加 | 16名 |
| 検査学校 | 検査技能+座学 | 随時開催 | 87名 | |
| その他 | オールコマツQC大会 | みどり会から選抜して参加 | 毎年20社前後参加 | 7社 |
| オールコマツ技能大会 | みどり会から選抜して参加 | 19社28名 | ||
| オールコマツ安全大会 | みどり会から選抜して参加(ゼロ災サークル活動報告) | 毎年5社前後参加 | 4社 |
近年深刻化する人手不足への対応は、コマツやみどり会会員企業にとっても喫緊の経営課題となっています。コマツは、ICTを活用した生産現場・生産設備のネットワーク化(KOM-MICS)およびその活用による生産性向上・省人化を継続的に推進しており、人手不足への対策の一環として、これらの活動をみどり会各社に展開しています。コマツで開発した稼働率モニター(KOM-MICS Logger)等を通じて、各社の工作機械や溶接ロボットのコントローラーから、設備の稼働状況や稼働条件といったデータを自動で収集し、ネットワーク上に集積します。それらのデータを目的別に用意されたアプリを通じてパソコン上で加工・編集することにより、稼働率向上の課題を見える化し、改善方策の共同解析、実行につなげています。機械単体の稼働状況の改善から始まったこの活動も、今ではライン全体のバランス改善・最適化へと進んでおり、将来の工場全体のスループット向上も視野に入ってきています。
KOM-MICS概要
KOM MICS Logger設置状況(設備本体の老朽更新による変動含む)
改善のステップ
昨今頻発する地震、豪雨、台風などの自然災害のみならず、新型コロナ感染症やサイバー攻撃など新たなリスクの脅威も顕在化し、サプライチェーンでのBCP体制構築の必要性がますます重要となっています。コマツは、2011年の東日本大震災を契機に、日本みどり会の外注企業を主体に104社を対象として、建屋・設備などの耐震・耐浸水対策などの支援を実施してきました。また、これらハードの対策に加え、BCPマニュアルの策定を通じた初動体制、ならびに早期の事業復旧を推進する体制の構築といったソフト面の対策強化も必要となります。2019年度にはみどり会104社を対象としたBCPワークショップを開催し、特に初動体制の構築支援を実施しました。
その後は、水害による社内システムの水没を避けるためのデータ避難の在り方や、地震による設備の転倒・ズレなどの発生防止のためのアンカー固定などの奨励を行っています。
自社のBCPを進める上での課題事項(回答:みどり会87社)