日本および中国のみどり会企業全社に対し、ISO14001やエコステージなどの環境マネジメントシステム(EMS)の認証取得を要請し、取得のための指導・支援を行ってきました。日本では対象156社全社が認証取得済みで、2018年からは更新状況の確認を実施しています。中国においても全60社の取得が完了しました。
残りの欧米とタイのみどり会企業に対しても同様の認証取得を推奨しており、2024年度末までにみどり会全体で90%以上の取得(商社を除く製造業全社が対象)を目指しています。
日本みどり会企業では既に認証取得後10年以上経過しましたが、安全衛生活動と同様、各社の事業活動の中への定着状況をフォローしていくことが重要です。その対応として、みどり会の外注企業を対象に環境監査を2021年から開始し、2023年までに4社の実地監査を実施しました。環境関連法規の遵守状況等の書面審査と、各社事業所の現場実査を通じて、各社のEMSが現場に定着しているかどうかを評価し、以降の改善支援につなげる活動を推進しています。2022年度からは、チェックシートによる自主確認を日本のみどり会外注企業全社に拡大するとともに、環境法令に関する勉強会を開催しました。2023年度は書面調査で関連する対象設備の多かった「水質汚濁防止法」「下水道法」に特化した教育を開催しました。今後も、リスクの予想される企業を主体に実地監査も増やしていきます。
環境監査
みどり会企業のEMS認証取得状況(2024/3月末時点)
地域 | 会員企業数 | 取得企業数(社数) | 取得率 | ||||||
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2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 目標 |
2024年 目標 |
2023年 実績 |
||
日本 | 156 | 156 | 156 | 156 | 156 | 156 | 156 | 100% | 100% |
中国 | 63 | 57 | 58 | 60 | 60 | 60 | 63 | 100% | 95% |
タイ | 32 | N/A | 16 | 16 | 18 | 20 | 30 | 95% | 63% |
北米 | 44 | 19 | 19 | 27 | 27 | 27 | 42 | 95% | 61% |
欧州 | 40 | 32 | 34 | 34 | 35 | 35 | 38 | 95% | 88% |
計 | 335 | 264 | 283 | 293 | 296 | 298 | 329 | 98% | 89% |
コマツは2030年度までのESG中期目標として、製品・生産(Scope1,2)におけるCO2排出量50%削減(対2010年)を掲げて改善活動を進めています。一方、近年では自社事業に係るサプライチェーン全体でのCO2排出量削減も重要視されており、Scope1,2以外の間接的なCO2排出(Scope3)のうちの10%程度を占める協力企業でのCO2排出量削減にも取り組んできました。東日本大震災後の電力需給の逼迫と電力コストの急上昇への対応として、2012年から2016年にかけて、日本みどり会外注系96社を対象に、対2010年比15%以上の電力使用量削減を目標に、みどり会の部会活動を活用して当社での改善事例を水平展開しました。生産量の大きな変動や新規設備投資等による比較障害はあるものの、2016年度末までにほぼ目標を達成しました。本活動を契機に独自の全社展開を徹底した結果、ECCJ省エネ大賞を受賞した協力企業も出ています。2017年以降は各社の自主改善にて電力原単位レベルの維持・改善を図っています。電力に加え、重油・ガスなどエネルギー全般を含めたCO2排出量削減についても、2019年から、まず排出量の多い鋳鍛造・熱処理企業から成る上位10社を対象に、具体的な改善支援を進めてきました。また、2023年度より日本みどり会156社全社に対しても、SBTに準拠した中長期の削減目標設定並びに具体的改善への取り組みを要請しています。特にそれと共に、みどり会外注系企業93社については、2030年度までに2022年度比原単位ベースで20%のCO2排出量削減を共通の目標に設定し、CO2排出量削減活動を開始しました。活動開始に伴い、2022年度には、最新の当社改善事例集を展開しました。また、当社の改善推進部門とみどり会部会活動が連携した技術交流会等を通じCO2削減を推進しています。2023年度は特にCO2排出量の多い鍛造・鋳造メーカーにおいては、実地訪問を通じて改善内容を共有したり、各社の事例共有会を開催するなど活発に改善活動を推進しています。各活動の進捗状況については、定期的なCO2排出量調査及びSAQアンケート等を通じてフォローしていきます。
みどり会93社の電力使用量推移第三者保証
みどり会93社のCO2排出量推移第三者保証
温室効果ガス排出量削減目標の設定状況(日本みどり会155社)
設定済 | 未設定/未回答 | |
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短期目標 | 126 | 29 |
中長期目標 | 44 | 111 |
日本みどり会のうち96社135事業所に対し、前述した浸水や津波リスクに加え、立地環境、取排水の能力・実際量・水質などを含む水リスク全般の把握と対応状況について調査するとともに、第三者機関のプラットフォームAqueductによる確認も実施しています。
その調査を受けて、2017年度から水使用量の削減活動を行っています。上水使用量の多い10社をモデル企業として2021年度までに15%の削減を目標に、コマツ改善事例の紹介、実地訪問での改善アドバイスなどを通じて活動を推進し、2018年度に目標を達成しました。以降は、自主活動として定期的に使用量の推移を確認するとともに当社ならび10社の活動事例を取りまとめた改善事例集の配布を通じて、他のみどり会企業へも活動を展開しています。また、2020年度からは、環境監査を通じて、水質汚濁法等、水に関する法令の遵守状況についても確認をしています。
上水使用に関する、みどり会上位10社の使用量推移
中国における環境規制の基本対象は三廃(排ガス、排水、固体廃棄物)ですが、これら規制の運用にあたっては各地方政府が独自に設定する規制や基準が優先されます。工場排水に関しては、河川や湖沼の水質汚濁深刻化を受けて、日本の全国一律の基準と比較して特に、排水中の有機物量の指標であるBOD/COD(生物化学的酸素必要量/化学的酸素必要量)の基準が非常に厳しく設定されており、排水集中浄化処理装置等の設置が必要となるケースが増えています。
コマツでは、中国みどり会企業での規制遵守状況を定期的に確認しています。
また、大気汚染(PM2.5)の抜本的な改善を狙いとして、2015年からは沿岸地区を中心に非常に厳しい環境規制が適用され、塗装・溶接・鋳造・メッキといった業種の企業に対し徹底した排気排水対策(VOC含む)が要求されています。コマツでは、中国みどり会の対象企業と協力して、設備の導入含めた規制対応の支援を行っています。各社での対策の結果、2022年3月末時点で18社が規制適用除外(緑企業認定)の認定を取得しました。今後も各社と連携して、操業継続上のリスク低減を図っていきます。
コマツは2011年に「コマツの生物多様性宣言」を公表し、事業活動を通じた環境負荷低減と社会貢献活動による保全への取り組みを掲げています。国内外のみどり会会員企業には当社の方針に賛同をいただき、当社と共同して各地で環境保全等の地域貢献活動に取り組んでいます。また、各社がその立地する地域の状況に応じた独自の取り組みも進められるよう、2021年度から実施した教育を通じて各社へ働きかけるとともに、各社の取り組み内容についても毎年報告を受けを通じて各社の事例を共有しています。