コマツでは人材は新しい価値を生み出す重要な経営資源の一つと捉えており、こうした考えの下で継続的に人材への投資を行っています。具体的には、賃金のみならず、手当・賞与・福利厚生、さらには人材育成施策の拡充も含め、幅広く人材への投資として捉え、継続的に取り組むことで、社内外の環境変化や経営方針との連動を意識しながら、会社・従業員双方の持続的な成長・発展を目指しています。
また、グローバルに発展し、持続的に成長していくため、文化や習慣の異なる全世界の社員が共有すべき価値観として「コマツウェイ」を2006年に明文化し、世界中の社員への浸透を図っています。この活動を土台としながら、人材育成に関する取り組みを継続しています。
中期経営計画では、成長戦略における重点活動として「多様性に富む人材基盤の充実化」を掲げ、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「多様な能力開発機会の提供とエンゲージメントの向上」「デジタル人材・オープンイノベーション推進人材の育成」を柱とした各種施策の展開を進めています。
コマツは、社長を委員長とする「コマツウェイ推進委員会」を年2回(ほか必要時)開催し、グループ全体の人事、労務、教育・人材育成、福利厚生、安全健康管理に関する方針及び重要な施策の審議・決定とその実施を促進しています。更にコマツウェイ推進委員会における検討内容は取締役会に報告し、審議を受けています。
コマツグループ各社は、「グローバルに多様な人材が一つのチームとして、事業の成長に貢献できる環境」の実現を目的とし、以下の基本方針に基づき、各地域の事情を反映した、その地域にふさわしい人事制度を構築しています。
経営層を含むコマツグループのすべての社員が永続的に継承すべき価値観を「コマツウェイ」として明文化しています。コマツウェイは、コマツの成長・発展の中で創業者の精神をベースに先人たちが築き上げてきた「コマツの強さ」「強さを支える信念」「基本的な心構え・持つべき視点」「行動様式(スタイル)」を明文化したものであり、コマツウェイを全社員に浸透させるよう、伝承・定着を推進しています。
コマツウェイを全世界のコマツグループ各社に普及させ実践していくために、さまざまな推進活動・人材育成を実施しています。社内研修にコマツウェイを織り込み、解説とグループ討論の場を設け、社員の気づきや理解を深めています。職場では定期的にミーティングを開き、考え方の説明や体験談の発表により世代間のコミュニケーションを活発にして伝承・定着を推進しています。2007年からは、「お客様にとって、コマツでなくてはならない度合いを高め、パートナーとして選ばれ続ける存在になる」ため、ブランドマネジメント活動に取り組んでおり、お客様の現場に入って、お客様の理想を知り、コマツグループ、代理店が一丸となってお客様と共に目標を達成することで、お客様との関係性を深めていくことを目指し、活動を進めています。また、海外グループ会社では母国語で理解できるようコマツウェイ第3版が13か国に翻訳され、習慣・文化の違いも理解しつつ、社員にわかりやすい説明をすることで、コマツウェイの推進を図っています。
2022年度のコマツウェイとTQM(Total Quality Management)研修は、海外においては北米地域を中心に時差を考慮したオンラインによる研修を実施しました。一方、日本の階層別教育においても、集合研修やオンライン研修に加え、e-learningを展開することで、更なる浸透を図っております。
今後も従業員に対する人材育成を継続し、コマツウェイとTQMのグローバルな普及・定着を計画的に進めていきます。そして、この定着活動を通じ、コマツウェイを実践し、次世代へ伝え続ける社員をグローバルに育むことが、コマツグループ全体の成長へつながっていくと考えています。
コマツは「企業価値とは、我々を取り巻く社会とすべてのステークホルダーからの信頼度の総和である」と定義し、企業価値を高めることを経営の基本としています。
さまざまなステークホルダーが存在する中で、これを「企業価値を創る人」と、「企業価値を評価する人」とに分類した場合、前者を担うのは社員、協力企業、販売・サービス店などで、後者には社会、株主、投資家、メディアなどが含まれますが、この両方の役割を担うのが、唯一「お客さま」であると考えています。お客さまは、コマツの企業価値を共に創り、評価し、そして成果としてリターンを与えてくれる存在だからです。
そこで「お客さまからの信頼度を高めること」を、「お客さまにとって、コマツでなくてはならない度合いを高める」「その結果、パートナーとして選ばれ続ける存在になる」と定義し、「ブランドマネジメント(BM)活動」として、2007年より取り組みを行っています。
コマツのBM活動における基本的な考え方は「顧客視点」です。マーケティング活動では、とかく他社との差別化や、市場におけるポジショニングを考えがちですが、そうではなく、「お客さまが何を目指しているのか」という理想や使命、目標を達成することを考えるのが、顧客視点です。
それを実現するために、自分たちの持つ経営資源や能力を開発、提供し続ける活動を行っています。これらの取り組みも、従来はどちらかというと、経験や勘に頼る分野であったと言えますが、コマツのBM活動では、様々なツールや手法を用いて、ケーススタディを「見える化」し、ノウハウを蓄積して、それを次世代に残していく活動としています。
当初の日本・北米・チリ・南アフリカ・豪州での活動に加えて、中国・東南アジア・欧州・南米・オマーン・CIS・林業ビジネスにまで対象を拡大しています。その過程で、上記の考え方をコマツグループのすべての社員が現場や職場で永続的に継承すべき価値観であるコマツウェイに織り込み、「コマツウェイ・ブランドマネジメント編」を作成しました。
2021年度は、コロナ禍のもとオンラインによる大会を開催し、全世界から従来の参加者数より多いメンバーが参加しました。
マーケティング部門関係者だけで始まったBM活動も、累計で18地域・150ユーザ以上に展開され、生産部門や開発部門も巻き込んだ全社活動に発展しています。組織横断でさまざまな部門を強化することに役立っており、幅広く人材育成の輪が広がっていることから、今後もコマツはBM活動を推進していきます。
研修名 | 対象者 | ねらい | 実施時期(2022年度) | 人数・実績(2022年度) |
---|---|---|---|---|
海外現地法人経営層候補向け教育 (グローバルマネジメントセミナー) |
海外現地法人経営層候補者 | コマツウェイを理解したグローバル経営幹部候補の育成 | 2023年3月 | 9人 |
海外現地法人ミドル層向け教育 (コマツウェイリーダーシップ開発研修) |
事業・機能の中核を担うと期待される海外現地法人ミドル層 | コマツウェイを理解、実践できる現地リーダーの育成 | 2022年9月、10月(オンライン開催) | 57人 |
TQM初級研修 | 適性を持つ海外現地法人社員 | 海外現地法人での理解促進 | 2022年9月(オンライン開催) | 24人 |
階層別研修 | 新入社員、主務、新任管理職など | コマツウェイの理解・実践の促進 | 通年 | 1,229人 |
オールコマツQC大会 | 国内・海外のコマツグループから選抜 | 改善発表活動をOJTの場とし、コマツウェイ実践の意識付けを強化 | 2022年11月(集合+オンラインのハイブリッド開催) | 改善発表94件(うち海外35件)会場:約300人、PC接続:約7,000人アクセス |
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
---|---|---|---|---|
全体 | 11,795人 | 11,927人 | 12,208人 | |
うち男性 | 10,404人 | 10,517人 | 10,760人 | |
うち女性 | 1,391人 | 1,410人 | 1,448人 |
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
---|---|---|---|---|
全体 | 61,564人 | 62,774人 | 64,343人 | |
うち外国籍従業員 | 41,573人 | 42,502人 | 44,040人 |
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
---|---|---|---|---|
全体 | 39.8歳 | 40.4歳 | 40.9歳 | |
うち男性 | 39.8歳 | 40.5歳 | 41.0歳 | |
うち女性 | 39.2歳 | 39.7歳 | 39.9歳 |
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
---|---|---|---|---|
全体 | 15.3年 | 15.9年 | 16.4年 | |
うち男性 | 15.6年 | 16.3年 | 16.7年 | |
うち女性 | 12.8年 | 13.5年 | 13.9年 |
全体 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
全体 | 12,208人 | 10,760人 | 1,448人 | |
60歳以上 | 457人 | 416人 | 41人 | |
50-59歳 | 2,595人 | 2,209人 | 386人 | |
40-49歳 | 3,380人 | 3,066人 | 314人 | |
30-39歳 | 3,765人 | 3,450人 | 315人 | |
30歳未満 | 2,011人 | 1,619人 | 392人 |
全体 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
2022年度 | 7,809,998円 | 8,055,296円 | 6,166,302円 |
全体 | 採用区分別 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
現業職除く | 大卒 | 短大・専門卒 | 高卒・他 | ||||||||
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | ||||||
2021年度 | 254人 | 180人 | 157人 | 135人 | 22人 | 16人 | 14人 | 2人 | 81人 | 62人 | 19人 |
2022年度 | 254人 | 169人 | 155人 | 104人 | 51人 | 11人 | 9人 | 2人 | 88人 | 73人 | 15人 |
2023年度 | 290人 | 192人 | 161人 | 109人 | 52人 | 15人 | 12人 | 3人 | 114人 | 88人 | 26人 |
全体 | 経験者採用比率 | 採用区分別 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大卒 | 大卒以外 | |||||||||
計 | 現業職除く | 現業職除く | 計 | 男性 | 女性 | 計 | 男性 | 女性 | ||
2020年度 | 57人 | 31人 | 14% | 11% | 19人 | 14人 | 5人 | 38人 | 30人 | 8人 |
2021年度 | 24人 | 23人 | 9% | 11% | 17人 | 12人 | 5人 | 7人 | 6人 | 1人 |
2022年度 | 87人 | 42人 | 26% | 20% | 40人 | 32人 | 8人 | 47人 | 44人 | 3人 |
全体 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
2019年度 | 167人(1.29%/0.99%) | 135人 | 32人 |
2020年度 | 147人(1.08%/0.86%) | 122人 | 19人 |
2021年度 | 200人(1.54%/1.31%) | 160人 | 40人 |
2022年度 | 200人(1.53%/1.36%) | 163人 | 37人 |
全体 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
2020年度新卒採用者 | 362人 | 298人 | 64人 |
2023年度在籍者 | 344人 | 283人 | 61人 |
離職者[3年間] (離職率) |
18人 (5.0%) |
15人 |
3人 |