コマツでは、多様性は会社の強みであると捉え、社員一人ひとりの基本的人権を尊重し、それぞれが働きがいと誇りを持ち、能力を十分に発揮するキャリア形成の場を提供しています。一人ひとりの成長と多様な個性の融合を、会社全体の成長に繋げていきます。
コマツのダイバーシティとは
コマツは、グローバル経営の進展を背景に中期経営計画において、グローバル人材の強化と育成を重点活動として掲げています。「グローバルに多様な人材がひとつのチームとして事業の成長に貢献できる環境の実現」を目指して、経営の現地化やグローバル人事施策の基盤整備、グローバル人材の交流を積極的に進めるとともに、成長分野でのエキスパート人材の採用に取り組んでいます。
事業展開のグローバル化に伴い、外国籍社員が約7割を占めるなか、当社は経営の現地化を進めており、すでに主要な現地法人では、ナショナル社員(現地社員)がトップマネジメントとして経営を担っています。今後は、グローバル・マネジメントを担う次世代経営トップ層の育成促進に向け、グローバルキャリアパスの構築に必要な体制や施策を強化していきます。
コマツは、海外現地法人のナショナル幹部ならびに日本人の経営幹部候補の人材育成を狙いとして、以下2つの研修を実施しています。
1.グローバルマネジメントセミナー
海外現地法人のナショナル幹部に対して、コマツの経営方針、コマツウェイ、事業戦略等の講義と議論を中心とした「グローバルマネジメントセミナー」を2006年度から実施しています。2019年度は12月に開催し、アメリカ、チリ、ドイツ、スウェーデン、ロシア、中国、インドネシア、オーストラリア、南アフリカの9カ国の現地法人より14名の経営幹部が参加しました。この研修を通じ、コマツウェイおよびグローバル経営戦略の理解を深め、参加者自身がコマツウェイに根ざした経営の実践を目指しています。
2. グローバルマネジメント研修
グローバルで活躍できる経営幹部候補の育成を狙いとした、「グローバルマネジメント研修」を実施しています。日本人だけでなく海外現地法人トップ層も対象として、短期間の海外ビジネススクールに派遣しています。2019年度は10名が、アメリカ、フランス、スイスのビジネススクールで研修を受けました。
グローバルマネジメントを推進するために、各種のグローバルミーティングを運営しています。コマツおよび海外現地法人のトップマネジメントが一堂に会する「グローバル主管者会議」をはじめ、地域・事業分野別のマネジメント・コミッティや、品質、安全、健康、法務、人事など機能別のグローバル会議を開催し、世界中の関係者が情報共有や意見交換を行っています。
2016年度に導入した「グローバルオフィサー制度」により、執行役員に任命された主要な海外現地法人のトップマネジメントは、これら重要な会議体への参画を通して、地域のトップとしてだけではなく、コマツグループの経営幹部としても活躍しています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | ||
---|---|---|---|---|
執行役員人数 | 合計 |
50人 |
50人 |
49人 |
内、ナショナル社員 |
5人 |
5人 |
6人 | |
グローバルオフィサー人数 | 合計 |
29人 |
26人 |
29人 |
内、ナショナル社員 |
18人 |
18人 |
19人 |
コマツは、女性の積極的な採用、育成、そして出産後もキャリアを継続できる環境の整備などの諸施策を積極的に進めています。コマツ単独では、2011年4月に初の女性執行役員、2018年6月には初の女性取締役が就任しましたが、女性の管理職が男性に比べて少ないことは、特に改善を進めるべき課題と認識し、出産や育児、介護などのライフイベントと仕事の両立の支援だけでなく、管理職への登用など、より責任と権限のある立場に積極的に女性を起用しています。コマツ単独で女性管理職比率を2021年4月までに10%とする目標を掲げているほか、国内外のグループ各社においても、社員に占める女性の比率や女性管理職比率等の目標値を設定し、その達成に向けてさまざまな活動に取り組んでいます。
コマツおよび海外現地法人の女性管理職を対象とした研修「Diversity & Inclusion Development Seminar」を2018年度から開催し、参加者自身がコマツの歴史や「コマツウェイ」、経営戦略などを深く理解するとともに、各社のダイバーシティ推進活動を牽引するリーダーとなることを後押ししています。
また国内においては、女性社員の育成施策として、将来や働き方を考えるキャリアプラン研修、および中長期のキャリアプランを上司と計画するCDP (Career Development Program) を2015年度より、コマツと同じ製造業の他企業と共同で女性社員の交流研修会を2016年度より継続して実施しています。また、2015年度より女性管理職を定期的に社外研修へ派遣し、経営幹部の育成に取り組んでいます。
女性の活躍を推進するための諸施策は、誰もが働きやすく能力を最大限に発揮できる制度や環境整備につながることから、今後もグループを挙げて活躍を進めていきます。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
---|---|---|---|
女性社員数(比率) |
1,321(12.2%) |
1,463(12.3%) |
1,482(12.3%) |
女性ジュニアマネジメント数 (比率) |
169(11.7%) | 172(11.4%) | 178(11.4%) |
女性管理職・執行役員数(比率) |
109(6.2%) |
129(7.0%) |
138(7.7%) |
女性執行役員クラス数(比率) |
2(4.3%) |
2(4.2%) |
2(4.4%) |
女性採用数(比率) |
24(12.8%) |
26(13.3%) |
27(11.9%) |
子育てや介護を行う社員が在宅勤務制度や短時間勤務制度などを活用し、柔軟な働き方が広がっています。子育てとの両立支援の取り組みとしては、社内研修を実施する石川県小松市にあるコマツウェイ総合研修センタで託児サービスを提供するほか、2016年度より労使共催で、毎月19日を「育児の日」として交流会を開催し、子育てする社員のコミュニケーションの場を設けています。さらに本社では、社員の子どもを招き、仕事や名刺交換などを体験する「こども職場見学会」を開催しました。
介護についても専門家によるセミナーを開催し、介護の心構えや仕事との両立を考える機会を提供しています。2018年度より、社外専門家による介護個別相談会を毎月開催し、一人ひとりの事情に沿った支援を行っています。
また、健康・安全の観点から治療と仕事の両立に関して相談できる窓口を各事業所に設置したほか、2019年度からは不妊治療休職制度を導入し、会社生活と不妊治療を両立させるための選択肢を増やすなど、治療が必要な社員が安心・安全に就労できる環境整備を進めています。
コマツでは障がい者雇用をグループ全体で推進しています。雇用率については、2021年までに国内グループ連結で2.5%(現在の法定雇用率は2.2%)という目標を掲げています。
2008年3月、コマツにおける障がい者の雇用を促進させる専門組織として「ビジネスクリエーションセンタ(BCC)」を人事部内に設立しました。BCCでは知的・発達障がいを持つ社員が勤務しており、現在11拠点に展開しています。各事業所には指導員が配置されており、日常の執務について教育やアドバイスを行っています。ただ与えられた仕事をこなすのではなく、他の社員と同様、半期毎に目標面談を行い、個人の業績評価によって報酬に差を設けることで、個々が自らの目標をもって執務に取り組むことを促進し、将来の自立・自活を目指した育成を行っています。
このようにコマツでは、雇用率という数値目標だけではなく、障がいを持つ社員たちと他の社員とが力を合わせて、誰もが「やりがい」をもって働ける職場づくりを目指しています。
2020年4月時点の障がい者雇用率は、2.79%(コマツ単独)となっています。BCCについては、合計11拠点で144名の方が勤務しています。組織が拡大したことで、これまで外部に委託していたことや、社内で手間や時間をかけて行っていた事務などをBCCが担うようになり、会社全体として作業の効率化に貢献しています。
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
---|---|---|---|
障がい者雇用率 |
2.50% |
2.55% |
2.79% |
BCC拠点数 |
10 |
11 |
11 |
BCC人員数 |
101人 |
125人 |
144人 |
日本では高齢化社会が今後ますます進んでいきます。高齢者の雇用拡大に向けての取り組みは、企業として今後も継続させていくべき施策のひとつと考えています。
コマツ(単独)では、2006年に「再雇用制度」を導入し、2013年4月からは、同制度を原則として希望者全員が65歳まで勤務できる制度に改定しました。また、「セカンドキャリア支援制度」を新たに設け、グループ外での活躍を目指す社員に対して、研修機会の提供、有給休暇や支援金を付与するなどの支援を行っています。
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | |
---|---|---|---|
定年退職者数 |
184人 |
185人 |
206人 |
定年退職者のグループ内再雇用人数 |
146人 |
155人 |
167人 |
2017年10月に改訂された「コマツの行動基準」において、従来の国籍や人種、宗教、年齢、性別、障害の有無などに加え、性的指向・性自認を理由とした不当な差別の禁止を明記し、性的少数者への差別的な言動を、セクシャル・ハラスメントとして懲戒対象としました。また、LGBTに関する社内相談窓口の設置、同性パートナーシップの認定や福利厚生の適用範囲拡大など、制度の整備を進めるとともに、管理職を対象としたe-ラーニングの実施など、LGBTに関する理解促進に努め、誰もが働きやすい環境づくりに取り組んでいます。