近年、外部環境が大きく変化し、不確実性がますます高まるなか、デジタルトランスフォーメーションやカーボンニュートラル、ダイバーシティ&インクルージョンなどの潮流をビジネス機会と捉え、持続可能な成長基盤を整備するとともに、事業活動を通じて社会課題を解決していくことの重要性がますます高まっています。
このような課題認識を踏まえ、当社では現在の中期経営計画の策定に先立つ2020年11月から2021年2月にかけて、外部環境の変化と事業リスクへの対応力を強化するため、マテリアリティの見直しを行いました。
中期経営計画における成長戦略の考え方である、“ESG課題の解決と収益向上の好循環”を生み出すために、マテリアリティへの取り組みを成長戦略の中にも反映させています。
マテリアリティを策定する過程において、第三者としてNPO法人である米国BSR(Business for Social Responsibility)からの支援をうけながら、以下のステップを踏みました。
中長期的な視点で、企業の価値創造や事業パフォーマンスに重大な影響を与えるサステナビリティ課題を、過去のマテリアリティ分析、国際的な目標・基準、報告フレームワーク、経営理念・戦略、ステークホルダーにとっての重要課題等を活用して抽出し、46項目にわたる課題リストを作成しました。
抽出したサステナビリティ課題について社内外のステークホルダーにインタビューを実施し、事業上の重要性とサステナビリティへのインパクト(ステークホルダーにとっての重要性+環境・社会・経済へのインパクト)の2側面から評価を行い、マッピングしました。
この分析から、2側面ともに特に重要性の高い分野・課題を抽出し、「社員」「人権」「顧客」「倫理・統治」「地域社会」「環境」の6分野におけるマテリアリティとして特定しました。
マテリアリティ(重要課題) | |
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[社員] |
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[人権] |
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[顧客] |
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[倫理・統治] |
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[地域社会] |
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[環境] |
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また6つの分野のうち、事業上の重要性とサステナビリティへのインパクトが高い環境、顧客、社員、倫理・統治の4つを、特に優先度の高い最重要課題の分野と位置づけ、収益向上とESG課題解決の好循環を生み出すため、この4分野への活動を成長戦略に反映させることとしました。
コマツは、2021年に制定したサステナビリティ基本方針に基づき、事業活動を通じて社会に貢献していくことを目指しています。
マテリアリティの特定に際して、サステナビリティ基本方針との整合性に加え、持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」との整合性についても検証を行い、17のゴールの中から、コマツグループの重要課題(マテリアリティ)と特に関連性の高い10のゴールを選定しました。
サステナビリティ 基本方針 |
SDGsとの関係 | マテリアリティ(重要課題) |
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人と共に |
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[社員] [人権]
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社会と共に |
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[顧客] [倫理・統治]
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地球と共に |
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[環境]
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特定したマテリアリティは、当社のサステナビリティ基本方針およびSDGsとの整合性の観点から検証が加えられた後、取締役会において、“ESG課題の解決と収益向上の好循環”を生み出すため、成長戦略を通じてマテリアリティに取り組むことを決議しました。
また、成長戦略によるESG課題の解決を着実に遂行していくために、> KPI (Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定し、その達成状況を統合報告書において開示することとしました。
当社は、事業環境や経営環境の変化に柔軟に対応していくため、これからも定期的(少なくとも3年に1回)にマテリアリティ分析を行い、全社的な事業上のリスクと機会を経営に反映していきます。